一宮旅情

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一宮暮色

 房総・九十九里浜南端に位置する上総(かずさ)一の宮は、かつては別荘が立ち並び、東の大磯と謳われたところです。いまも通りには大きな松がしげり、朝な夕な、散策をする人に出会います。この写真は、一の宮川東岸からの暮景。中央部あたりが、一宮館です。

干潟のカニ

 一の宮川の潮が引くと、干潟に沢山のカニが現れ、思い思いに甲良干し。ではなくって本当は何か意味があって、こうしているのでしょう。写真は一宮館前で。

コウボウムギ

芥川龍之介はコウボウムギが好きだったのかも知れません。書簡や小説に何度か登場します。

ハマヒルガオ

 弘法麦と同じく、夏に一宮海岸に咲き、黒潮に向かって花を開きます。群生地が沢山ありますが、風によって移動する大量の砂の状況で毎年違ってきます。

一の宮川河口

 一の宮川河口には、広い干潟が保存されていて、沢山の葦(よし)がしげり、鳥たちのサンクチュアリになっています。葦の根本にはたくさんの幼魚やカニ、小貝などが集まり、ひとつの生態系を形づくっているようです。
 上の写真はイサキの幼魚を捕まえた白鷺。

天日干し

 銚子から九十九里一帯はイワシが沢山捕れる場所として知られています。イワシに限らずアタマがよくなる酵素(?)を含んだアオモノと呼ばれる魚類(サバ、カツオ、マグロなども含まれる)は、このあたりでは昔から沢山捕れていて、それを食べているから房総人は天才ばかり、でないことから人生努力も必要という結論が出ますが、美味しく健康にいいことだけは確かです。お土産に、ぜひ。

海水浴場

 九十九里はほぼどこでも海水浴が出来ますが、近いところは一宮館から徒歩10分で行けます。所々に、潮が強烈に沖に引き込む澪(みお)があるので、監視員の指示に従うことが大切。芥川龍之介とともに当館に泊まっていた久米正雄が、これに引き込まれたらしく「したたかに海水を飲んだ」という話を、龍之介は師の夏目漱石に手紙で書き送っています。

玉前(たまさき)神社

延喜式神名帳にも名神大社、上総五社の一つとして名を残す神社で、古くから皇室、武家の尊崇が厚く、徳川家康も神田15石を寄進したといわれます。現在の社殿は江戸中期の建築で、重文級の社宝類も沢山あります。

裸祭り

 近郷30数ヵ村の氏神として祭られていて、9月13日の秋季大祭では、無形文化財の神楽(かぐら)の上演と、神輿(みこし)が海に入る「裸祭り」の神事が行なわれます。

バードウォッチング

干潟でエサをついばむ千鳥

東浪見甚句(とらみじんく)の発祥地

国道際に石碑が建っています。

引潮時の海は概して静かです。背中に太陽がかくれたら、そろそろ夕食の時間。湯を浴びて、地魚の饗宴といきましょうか。